気ままに、うぇぶ録 NEO

 F1の感想を中心にやってます。

2019年F1 第9戦 オーストリアグランプリ 決勝(詳細)

ホンダPUの初優勝という結果になった今回のオーストリアグランプリですが、

 

f1-gate.com

 

私の場合は、フェルスタッペンもレッドブルも(それに伴ってホンダも)全く応援する気が無いから、

日本の解説陣の方々や、多くの日本のF1ファンの方々とは温度差(価値観の違い)があり過ぎて、

今回のレースを見ていても、全く納得出来ず、また不満が爆発しただけです。

 

 

レッドブルの車体性能やチーム力を考えれば、ホンダのPUでも何回かは優勝出来ることもあるだろう、ということは、シーズン前から言っていたこと。

 

これまでは、白々しいくらいにホンダに対して好意的なコメントしかしていなかったレッドブル関係者やフェルスタッペンも、最近では、スペック3投入後もやはりホンダのPUはパワーが足りないと批判し始めていたし、ホンダのPUでは勝てないからと、フェルスタッペンがレッドブルを離脱するという噂まで立ち始めていたのだから、今回の優勝にホンダのPUの力が寄与していないことは明らかですよね。

なのに、今回のレースが終わった後で、いまさらまた、ホンダを賞賛する姿には違和感しか感じません。

 

 

結局、今回も、レースの結果を左右したのはピレリタイヤであり、

今回のレースでも、今のF1は「無駄なコストをかけた高額な最先端のパワーユニットを使った、ピレリタイヤの使い方競争」だということを改めて感じさせられただけ、

 

それを面白いと感じろ、というのは私には無理です。

  

オーストリアもフランスと同様、圧倒的にメルセデスに有利となるパワーサーキットであり、(昨年、レッドブルが勝ったのも、メルセデスが2台ともトラブルで自滅した結果、)

メルセデスが35℃を超える猛暑の中ではPUがオーバーヒートする、というのは意外な弱点だったのですが、フェラーリまでが非力なホンダのPUに負ける要因はなかったはず。

 

フェラーリは、遅れを取っていたメルセデスの(ミディアムタイヤなのに)目先のポジションを重視したアンダーカット狙いの早めのピットインに対応する必要があり、(ソフトタイヤでもまだ走れたのに)早めのタイヤ交換を強いられたしまった訳で、

結局、スタートを大失敗して大きく後退したフェルスタッペンだけが、メルセデスフェラーリとの序盤での目先のポジション戦略に付き合う必要がなくなったことで、ミディアムタイヤでの本来のロングスティントを行ってタイヤ交換を10周近く遅くすることが出来、それがすべてを決める要因になってしまったと・・・

 

私は、ピレリタイヤに関しては、もはや、コンパウンドうんぬんよりも、とにかく終盤でタイヤが新しい方が有利なだけ、という見方しかしていない、と前にも言っていたのですが、今回はその典型で、最後にソフトタイヤに履き替えたベッテルの速さを見てもそれが判ります。

フェルスタッペンが優勝出来たのはスタートを失敗したから、というのはあまりにも皮肉な話だし、

どれだけ頑張ってマシンやPUを開発しても、ピレリタイヤの新しさ一つでレースの結果が決ってしまうというのでは、全く報われないですよね。

 

それに、DRS区間が3箇所に増やされ、最終コーナーから4コーナーまで、レッドブルリンクの大半を占めるストレート区間のほとんどがDRS区間という馬鹿げた設定も、タイヤが新しくて追い上げる側に圧倒的に有利であり、これではタイヤが劣化して追われる側がドライバーの腕でディフェンスすることは不可能ですからね。

 

これも前から言っていることですが、こういうのはマシン性能やドライバーの実力によるオーバーテイクではなく、単にピレリタイヤの新しさとDRSによる順位の入れ替えでしかない訳で、私が見たいF1はこれではないのですよね。

 

それが今のレギュレーションなのだから、今回のレッドブルの勝ち方が間違っている、と言うつもりはなく、そういうF1しか知らない人が、それを面白いと言うのはいいけれど、

昔からF1に係わっている古株のF1関係者の方々に、やっぱりF1は面白いとか言われると、彼らは本当にもう昔のF1がどういうものだったのかを忘れてしまったのだろうか、と思ってしまいます・・・

 

 

で、ここからは、問題のフェルスタッペンとルクレールのインシデントについてです。

 

と言っても、どうやら今回は、それが問題だと思っている方が圧倒的に少数派のようですが・・・

 

今回はルクレールをコース外へ押し出しているのは誰が見ても明らかなので、本来なら、当然フェルスタッペンにはペナルティが科されなければおかしいのですが、

ペナルティの対象者がF1関係者一推しのフェルスタッペン様様であることや、

ここ数戦の状況を考えれば、また批判の種になる、裁定でレース結果を決めるような判断をFIAがするとは思えなかったから、

レース後にフェルスタッペンにペナルティが科されなかったことは、ある意味、予想どおりで、やっぱりね、って感じです。

 

もちろん、予想どおりだからといって、納得している訳ではありません。

 

FIAはペナルティを科すという裁定を下さなければ、自分たちの裁定でレース結果を決めたことにはならないと思っているのかも知れませんが、

そもそも、インシデントが発生し、それを審議対象とした時点で、レース結果はFIAの判断に委ねられた訳だから、

ペナルティを科す裁定を下さなければ下さないで、それはFIAがフェルスタッペンの方を選んだことになり、FIAがレース結果に関与しなかったことにはなりません。

 

川井ちゃんなどは、FIAは野暮なこと(盛り上がったレースに水を差すこと)はするなと言っていたけど、そうじゃない。

野暮なこととは、FIAの裁定のことではなく、ペナルティの対象となるインシデントのことであり、野暮なことをしたのはインシデントを引き起こしたフェルスタッペン本人です。

野暮なことをするなと言うなら、フェルスタッペンに対して、あそこでなくても確実に逆転出来る速さがあったのに、自己顕示欲丸出しの走りで、レースに水を差すようなインシデントを起こすな、と言うべきだったでは?

 

ここで、ルクレールをコース外へ押し出しているのは誰が見ても明らか、という点について少し補足しておくと、

今回のレースの結果は「ホンダF1の13年ぶりの優勝」ということで、珍しく、NHKの朝のニュース(おはよう日本)のスポーツコーナーでも取り上げられていて、逆転優勝の場面として、問題のインシデントの(俯瞰の)映像も流されたのですが、

それを見た高瀬アナや和久田アナは「あれは押し出しているように見える」という疑問をスポーツ担当キャスターに投げかけていました。

(担当キャスターは、レース後に審議された、と答えていました。)

NHKのことだから、キャスターのコメントも台本どおりなのかも知れませんが、それでも、あの映像を見たら多くの視聴者が疑問を感じる、と判断された結果であり、

あのインシデントが、今回ばかりは私の偏見だけではなく、一般の人々が見ても明らかにコース外へ押し出しているように見える、というのは間違いないと思います。

 

カナダでの一件では、川井ちゃんたちも、ベッテルとハミルトンは接触していなかったし、ハミルトンに被害もなかった、と言っていたように、ペナルティは不当という意見が大半だけど、

それにペナルティを科してしまった手前、それ以降も、FIAはどちらかというと厳正にペナルティを科す方向で一貫性を持たせようとしているのかと思ったのですが、

(予選では、珍しく、ハミルトンもグリッド降格になったのに、)

 

今回は、接触は紛れも無い事実で、コース外へ押し出しているのも誰が見ても明らか(被害が出ている)という明確なインシデントなのに、FIAはペナルティは科さないという(ここ数戦とは相反する)不公平な選択をした訳で、その判断基準は完全に破綻しています。

 

やはり、FIAが、一貫性よりも、何を(次は誰を)優先しているのかは明らかですよね。

(今後、他のドライバーが同じことをした時でもFIAが同じ判断を下すのか、注目です。)

 

それと、カナダでの一件と今回の一件とでは、カナダではレース中にペナルティが科されたのに対し、今回はレース後の審議だったという決定的な違いもあります。

ベッテルが有無を言わさずペナルティを科せられた(レース後に何を言ってもその裁定が覆ることもなかった)のに対し、フェルスタッペンはレース後に好き勝手に発言したうえに、審議に呼ばれて話を聞かれている、というのも不公平極まりないですよね、

これではインシデントの内容だけを見て客観的は判断が下されたとは言えません。

程度の悪いドライバーの戯言に影響されないように、今回も、可能ならドライバーがマシンを降りる前、少なくとも表彰式よりも前に(インタビューは以前のように表彰式のあとにして)先に裁定を下すべきだったと、私は思うのですが・・・

 

今に始まったことではないですが、F1界の不公平さには心底嫌気が差します。

 

まあ、今回はレッドブルのホームレースでもあり、レッドブルがチケットを配って用意したと思われるフェルスタッペンのファン専用の観客席はオレンジ一色だった訳で、

あのファンの様子(カメラに向かって指を立てて歓喜する様)を見ていれば、あそこでフェルスタッペンを表彰台の中央から引き摺り下ろすような裁定を下せば、程度の悪いファンが暴徒化した可能性もあり、FIAも忖度するしかなかったのかも知れませんが・・・

 

もしもこの先、今年のモンツァで同じことが起きたとしたら、ティフォシのブーイングの中でFIAはどういう判断を下すのでしょうか???

 

 

それにしても、

あれだけのスピード差があったのだから、あんなことををしなくても、あのあとの4コーナーまでのDRS区間を使って普通に抜くことが出来たはずなのに、やはり、フェルスタッペンはどうしてもああいうことをしないと気が済まないようですね。

 

モナコでのハミルトンに対してもそうでしたが、フェルスタッペンは、自分だけは違うということを見せ付けたいのか、本当に自己顕示欲丸出しで、ここぞというところでは、必ずと言っていいほど、ああいう接触を伴った抜き方をしようとする訳で。

それって、ここぞという判断が上手くないということだし、接触しないと抜けないというのも決して上手いと言えるものではないと思うのですが?

 

まあ、フェルスタッペンとしては、無理矢理仕掛けて接触しながらでも抜くのが上手いオーバーテイクだと思い込んでいるのかも知れませんが。

 

そして、その行動の元となっているのが、フェルスタッペンの自己中止的で、自分がすべて正しいというものの考え方。(昔のハミルトンよりも遥かに酷い。)

フェルスタッペンの発言を聞くと本当に呆れてしまうのですよねぇ。

 

その一つが、馬鹿の一つ覚えのなのか、毎回のように繰り返し言っている「俺の方が前だった」というやつで、

モナコでのアンセーフ・リリースの時にも言っていたし、今回のインシデントに対するコメントでも言っています。

無理矢理突っ込んで横に入り込めば、もう、自分の方が優先で、自分が前だというのだから、救いようがありません。

横と前の違いくらい理解出来ないのでしょうか?

 

そして、今回は、川井ちゃんの訳では、確か「ルクレールが俺に向かってターンインしてきた」とか言っていましたが、これには、もう、失笑するしかないですよね。

だって、コーナーなんだから、あそこでターンインしなきゃ曲がれないでしょ。

自分がインに無理矢理突っ込んだら(もう自分の方が前だから)相手はコーナーを曲がるな、ってことですか?

 

で、相手のスペースを残さず、接触して、縁石まで膨らんで相手を押し出しておいて、「あれがペナルティなら家にいた方がマシ」だとか「あれが許されなかったら、F1をやる意味が無い」ってインタビューでほざいているのだから、本当に呆れかえってしまいます。

(フェルスタッペンの場合、FIAに対する駆け引きではなく、本当に自分は悪くないと思って言っているとしか思えない。)

まさに、ヨスの血を引いた暴力気質丸出しで、接触して相手を押し出すことが許されないのならF1をやる意味がない、って、頭がおかしいとしか思えません。

(オープンホイールの危険性とか、タイヤのサイドウォールの弱さとか、全く頭に無いんだろうね。)

 

だからこそ、今回、FIAは正しい判断をするべきだったのに、

ペナルティを科さなかったことで、それを公式に認めてしまったことになってしまいました。

(フェルスタッペンの発言は、レース終了直後のインタビューのもので、レース後の審議よりも前のものですから。)

 

日本の解説陣の反応を見ていても判るように、何故か、F1関係者のほとんどは、フェルスタッペンのそういう考え方や行動を肯定する人ばかりで、F1界の倫理観や道徳観、安全意識は、いったいどうなっているのでしょうか?

 

 

【余談】

私は(F1に興味を持ったのはもっと前からなのですが、)セナの時代のF1はほとんど見ていないし、セナ信者でもないので、当時の様子は知らないのですが、もしかして、セナの時も同じような(問題児が賞賛されるような)状況だったのでしょうか???

 

私は、別に、アグレッシブなドライバーが嫌いということではなく、フェルスタッペンを許容出来ないのは、アグレッシブだから、というのが理由ではありません。

フェルスタッペンを過去のアグレッシブだったドライバーと同列に扱うのもやめて欲しいです。

 

 

ということで、言いたいことはまだまだある(フェルスタッペンのことばかりではない)のですが、

口で言うなら簡単だけど、キーボードを打つ気力が続かないので、この辺でやめにして、どうしても言いたくなったら、また追記したいと思います。

 

 

 

最後に、

 

日本の解説陣は、今回の1戦でまるで今年のF1の流れが変わって面白くなったというような雰囲気でしたが、実際には(数字的には)つまらないタイトル争いの状況は何も変わっていません。

 

今回は、レッドブルなら勝てることもある数戦のうちの一つが、たまたまちょっと早かっただけ。

 

いまさらFIAがベッテルやルクレールよりフェルスタッペンの方を優遇しても、ベッテルが既に数字的にもタイトル獲得がほぼ不可能なように、ほぼ同じポイントのフェルスタッペンが数字的にハミルトンを上回ることも不可能です。

 

目先のレースが盛り上がることも大事なのかも知れませんが、今のF1を面白くするために本当に必要なのは、特定のドライバーを優遇して盛り立てることではないと思うのですが・・・